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消防設備士 

消防設備士 

2021/04/22

 

■消防設備士配置は努力義務

 天井の張り替え作業中に起きた東京・新宿のマンション地下駐車場でのCO2中毒事故。消火装置の取り扱いに詳しい消防設備士が立ち会っていれば事故を防げた可能性があるが、立ち会いはあくまでも努力義務で、今回の工事では配置されていなかった。

 総務省消防庁はCO2を用いた消火設備付近で工事をする際、消火装置を取り扱う消防設備士などを立ち会わせるよう自治体などに通知している。誤作動による事故を未然に防ぐのが目的で、有資格者が消火装置の電源を落としたり、手動に切り替えるなどの作業を実施し、安全を確保する。

 ただ、有資格者の立ち会いは法的拘束力のない努力義務。消防法では、消火設備近くで行う工事の場合、火災予防を目的とする法の適用範囲を超えていることなどを理由に、立ち会いを推奨することにとどまっている。

 CO2を含む消火用ガスを噴出するタイプの消火設備がある駐車場などの事故は後を絶たない。元東京消防庁麻布消防署長で市民防災研究所の坂口隆夫理事は「同様の事故では、資格を持った人が立ち会っていないケースが多い。繰り返し通知を出しているが、実効性が低いのが現状だ」と説明する。

 消防設備士の立ち会いの義務化については慎重な意見もある。豊橋技術科学大の中村祐二教授(火災物理科学)は「検討するのは時期尚早。法律で固めると、業者の身動きが取れなくなる可能性がある」と指摘。法整備に伴い作業工程が複雑化することで、新たな事故を誘発しかねないと懸念するが、一方で「しっかりと原因を検証した上で、消防設備士がいなかったことが事故につながってしまったのであれば、義務化を検討する必要がある」とも話している。

 捜査関係者によると、亡くなった作業員らは孫請け会社の所属で、有資格者を手配する義務があるのは、元請け会社だという。「孫請け業者は被害者。知識がある有資格者を手配していれば事故は起きなかった。なぜ怠ったのか」。捜査幹部は首をかしげた。(松崎翼、王美慧)

 

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